株式会社エヌシーネットワーク(以下、NCネットワーク)は、インターネットを使って製造業向けの情報を発信している企業である。中小製造業の得意技術や所有設備などを蓄積したデータベースを検索する「EMIDAS工場検索エンジン」や受発注情報掲示板などによって主に加工品の受発注に利用されている。
同社のサービスのひとつ「技術の森」は、製造技術に関連した「質問」(Question)と「回答」(Answer)をつなげ、共有する「場」(サイト)であり、NCネットワークをはじめ「日本の製造業を盛り上げる」という共通の思いを持った共催団体「モノづくりネットワーク」により運営されている。
ASK-OK導入の背景
「職人の技術」や「現場のノウハウ」といったモノづくりの情報は、もともと積極的に外部の人と情報交換をする習慣がなく、情報共有といっても、社内だけに留まっていた。
また、情報の性質上教わるものというよりは目で見て体得するものが多く、事例や経験知などの暗黙知に頼らざるを得なかった。
同社では、もともと「モノづくり掲示板」という技術分野ごとのコミュニティを持っており、ここ数年のインターネットの普及に合わせて、モノづくりのネットワークとして拡大していった。
コミュニティで交わされるやり取りの中には、現場でしか得られない貴重な情報があることから、技術情報専門の「場」があれば現場のノウハウの共有ができると考えたのである。
ASK-OKとの出会い
「モノづくり掲示板」を運営していく中で一番の問題点は増え続ける情報の整理と共有であった。
また、「場」の提供にあたり、現場で困っている人がサイトにきて疑問を解決できる、もしくは何か情報を得ることができるようなところにしたいと考えていた。こうした状況の中、オーケイウェブのコミュニティに出会い、「知識を教え合い、分かち合う」というコンセプトに共感し、それをもとに開発された製品「ASK- OK」(アスク・オーケイ)に魅力を感じたのである。
「ASK-OK」は企業や組織内に散在する知識やノウハウを集結させ、いつでも誰にでも引き出すことができるシステムであり、散らばった情報をひとつにし、中小製造業にとって本当に必要な情報と機能を提供する中立的な技術データベースを作りたいという同社のニーズに合致していた。
そこで同社は共催団体という形で賛同者を集め、Q&A方式のコミュニティによる日本の製造業における知識の底上げ・共有という理念の実践が可能になるとして導入を決め、「技術の森」として運用を始めた。
問題の解決へ向けた取組み

導入当初は、「サイトを活性化させたい」と思う一方で、「営業を目的とした投稿が増えるかもしれない」等の理由からあまり宣伝は行わずにスタートした。
「本当に使ってもらえるか」という不安や「そのコミュニティで何をするのか」「忙しくておしゃべりをしている暇はない」などの否定的な意見もあった。
「技術の森」を盛り上げていくために、サイトへの参加を匿名にすることで参加しやすい環境を作った。また、共催団体には事あるごとに各団体での利用を促進するよう協力を求めた。さらに「技術の森」を通じて質問と回答のやり取りをしているうちに信頼関係が生まれ、仕事のマッチングにつながるなど、積極的に活用することの有益性を説いた。
運営面では共催団体に特定のメーカーを加えないことや営業関連の投稿を削除するなど、中立性の維持や質の向上を目指している。
NCネットワークの会員のような中小企業から大手メーカーまで、さまざまな企業に勤める人がお互い気持ちよく使える良い場にするため、メールの書き方の指導などの啓蒙活動も合わせて行っている。
こうしたコミュニティとして中立的な技術データベース的サイトの構築という方針を貫いている結果、サイトが荒らされるということがなく、ユーザー数の推移はゆっくりながらも増加していることに加えて、本当に人のためになろうという会員が多いのが特徴である。
今後の展開
現在製造業向けに19種類のカテゴリー(CAD、生産管理ソフト、開発、工作機械・工具等)があり、膨大なデータベースが出来上がりつつある。
各カテゴリーへの投稿も幅広い範囲で徐々に増えてきており、会員数も約3,200人となった。
赤井氏 「疑問を持って解決した人や情報を得た人が、「技術の森」に魅力を感じ、今度はその人が困っている誰かを助ける、という流れができつつある。そんな助け合いの精神を実際に感じることができて、本当にうれしい。」
将来的には、もっといろいろな知識を持っている人を集めたいと考えており、日本で最高の技術データベースの構築を目指したいとしている。
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