2018.7.30 サポート豆知識

ナレッジセンターサービス(KCS)~新しいナレッジの考え方~ 【第2回】

近年、ナレッジセンターサービス(KCS)を取り入れ、実践する企業が増えています。KCSに必要な考え方やその効果とは?HDI-Japanの山下さんより解説いただきます。(全4回) ※過去の記事はこちら ナレッジセンターサービス(KCS)~新しいナレッジの考え方~ 【第1回】

KCSとは

KCSはナレッジがうまく活用できないと悩む多くのIT企業などが、多額の投資をして米国のNPO団体「サービスイノベーションコンソーシアム」が10年を要して実証実験を繰り返し完成した、企業の主要な資産であるナレッジに注目した一連の実践プロセスと方法論です。従来の知識データベースがなぜサポートセンターで機能しないのか、それはソリューションデータベースになっていなかったからです。専門家や開発者が作成する知識データベースは、いわばマニュアルや規定書のようなもので、正しいことを普遍的に記載します。一方顧客対応で利用するサポートセンターのソリューションデータベースは、刻々と変化する状況に合わせてその時点の最善の策を提供するもので、完成形はなく常に変化を続けるものです。KCSは、このソリューションデータベースの利用方法、管理方法、価値、導入の方法、利用者の教育、ツールの必要条件、プロセス統合の要件などを取りまとめたものです。

センターは重複業務の繰り返し

サポートセンタースタッフが問い合わせを受け、対応策が浮かんでこないとナレッジを検索します。しかしそのセンターにとって初めての問い合わせ内容はナレッジには存在しません。そこでスタッフはマニュアルを見たり、文献を探したり、他のスタッフに聞いたり、またインターネットを調べたりして、何らかのソリューションを発見します。そして顧客と話しながら、顧客の状況に対応できるかを顧客とともに確認しながら、解決できるか進め、そしてうまくいったとき顧客対応を終了することができます。そしてこのスタッフは対応を記録に残し次の問い合わせに進みます。この初めての問い合わせと同様な内容のものは、次々に入ってくるようになります。その都度各スタッフは対応を開始しますが、最初に受けたスタッフと同様ナレッジには記載がないので、調査や検討に時間をかけます。この作業は次々と届く同様な問い合わせについて異なるスタッフが同じような調査検討を行います。つまりサポートセンターは重複業務の繰り返しとなっているのです。

従来型ナレッジは投資対効果が低い

同様な問い合わせを受けているスタッフはナレッジ記述を発見できないので、ナレッジ担当者にコンテンツを作成するように頼みます。ナレッジ担当者はこの問い合わせを分析し、正しい対応策を発見して、検証作業をし、そしてナレッジコンテンツに追加します。しかし一般に同様な問い合わせは、最初に届いた時から次第に数が増え、ピークを迎えると次第に減少し、数週間~数カ月でほぼ沈静する傾向を示します。問い合わせ数が多くなるとナレッジ担当者もその検証に時間がかかります。そしてようやくナレッジをアップできた時、問い合わせは沈静に向かっていることが多いのです。ナレッジ担当者が問い合わせを分析し検証してナレッジコンテンツを作成するまでが投資となります。そしてナレッジが利用されることが効果です。しかしコンテンツアップの遅い従来の方法では投資対効果は低いのです。

ではどうやって投資対効果の高いナレッジ活用を行っていくのでしょうか。次回はもう少し具体的にKCSについて踏み込んでいきます。お楽しみに。

この記事の執筆者

山下 辰巳(HDI-Japan 代表取締役 CEO)

山下 辰巳(HDI-Japan 代表取締役 CEO)

HDI-Japanは日本のサポート業界の要請に応え、世界のHDIと同じコンセプトで2001年に設立、2006年からHDI問合せ窓口格付けを開始し、様々な業界で活用されるようになりました。現在はサポートセンターの発展とともに新しいナレッジの考え方の普及に取組んでいます。
URL:http://www.HDI-Japan.com

関連キーワード

おすすめ記事