2018.9.21 サポート豆知識

世界最大の中国EC市場「カスタマーサポートが命!」と言われるわけは ?【後編】

近年、中国のEC市場は日本人の想像を超えるスピードで発展し、世界からも注目を集めています。前編では、中国EC市場の規模と成長率を紹介しました。後編は、中国最大のショッピングモール『Tmall』で使用されているチャットサポートについて紹介します。

※前回の記事はこちら
世界最大の中国EC市場「カスタマーサポートが命!」と言われるわけは ?【前編】

『Tmall』のサポートの仕組み

アリババグループが提供する下記2種類のサポートツールを改めて紹介します。

・アリワンワン(阿里旺旺):『タオバオ』『Tmall』に出店している店側に問合わせをするために使う有人チャットツール
・ALIME(阿里小蜜):『タオバオ』『Tmall』の運営側アリババへ、クレーム相談するために使うAIチャットボットツール

購入前・購入後商品について疑問がある場合はアリワンワン(有人チャットツール)でまずは店舗に問い合わせ、そこで解決できなかった場合はALIMEでタオバオ運営側に相談します。

【問い合わせイメージ】

では早速、それぞれのツールについて見ていきましょう。

アリワンワン

【特徴】
・店側と直接チャットで会話可能
・配送状況が確認できる
・チャット履歴の保留・参照・転送が可能(1年間)
・PC、スマートフォン対応、自動同期

【使用レビュー】
店側のオンライン状況やメッセージの既読有無がわかるため、店側との距離感が近い感じがしました。しかし、有人対応であるため、無視や雑な対応などをされると購買意欲が下がると思います。 チャットには商品ページの共有、チャット履歴の見返し及び共有、写真の共有、定型文、スタンプ、あらゆる機能が装備してあるので、状況に応じた問い合わせはしやすいと感じました。問い合わせ履歴(1年分)が残っていることも、前回の内容を呼び出して追加質問ができ、とても便利です。

【チャット画面】

 

『Tmall』にある店舗のチョコボール商品について問い合わせした画面。「商品は何日くらいで届きますか?」の質問に対し、店舗側が「いつお届けできるか保証できません」と回答、悲しんだ表情の可愛いスタンプを使い「許してください」と謝られたので、「届く時間がわからなくてもいいや」と思ってしまいました。最後に「今暑いから、秋になってから買うね」と伝えると、「うんうん、最近暑すぎるからチョコ溶けちゃうよね!」と優しくフォローしてくれて、思わずお気に入り店舗に入れて秋になったら買おうと決めました…

ALIME

【特徴】
・『タオバオ』や『Tmall』での店側とのトラブルに関するサポート
・人気商品の推奨(要望をいれると、今人気の関連商品をおすすめしてくれる)
・天気予報、チケット予約、健康問診(健康専門家の推奨など)などの情報提供サポート
・暇つぶし系のチャット機能 ・返答時間平均1秒以下、AI解決率80%近く(アリババ公開データより)
・24時間いつでも有人に切替えることが可能。

【使用レビュー】
最初はチャットボットでの対応、それでも解決しない場合は、即有人チャットに切替えることが可能です。ただし、返品、偽物通報など一般的な要望は、ほぼAIで完結できているとのこと。アリババの公式発表でも、2017年のAIによる対応が全体の95%、解決率は93%と、とってもおりこうさんです。問い合わせのほか、簡単な暇つぶしチャットもできるところもポイント。アリババによると、毎日暇つぶしでチャットしてくる会員数は10万人を超え、現在も増え続けているそうです。

【チャット画面】

 

商品についての問い合わせの他、おすすめ商品のご紹介から日常生活上のサポートまで対応。Googleアシスタント的な役割を持つツールでもあります。

中国人の性格や文化的な違いが影響

アリババグループとJD.comの2強以外の人気ECサイトでも、ほとんどがチャットサポートを提供しているため、全体的に購買客の問い合わせの障壁が低いのが中国のサポート市場の特徴です。チャット感覚で容易に問い合わせができる一方、即返答をしないと他の店舗にいってしまうケースも多くあります。更に、アリババの場合は購入者からの評価も重要な指標となっているため、購入後の対応を油断してしまうと、評価や信用度が下がってしまい、商品検索で上位に表示されなくなります。商品の品質とカスタマーサポートをセットで考えなければなりません。
また、日本の徹底した「顧客至上主義」に対し、中国はやや「友達」に近い存在の接客が主流です。堅苦しさより親近感を求める傾向にあります。 余談ですが、現在中国のネットでも流行している「親(シン)」というタオバオ言葉があります、最初は、中国語の「親愛的」(Sweetie、Honey、my Loveの同義語)の略称から来た言葉ですが、タオバオの出店者が顧客との距離を縮めるために使いはじめたのがきっかけで、今はいろんなECサイトで「こんにちは!いらっしゃい!」と同じ意味を持つデフォルト挨拶言葉となりました。
これは中国人の性格的な特徴とも関係あります。中国人は人間関係を非常に重視する民族で情に厚いため、一度友達などの関係になってしまえば、とても良くしてくれます。「お客様」より、「友達」に近い関係性を築くと、商品のクオリティーが同じの場合、あるいはやや高めでも親しくしてくれる店を選んだり、継続利用してくれる場合が多いです。逆に、真面目すぎて堅苦しい言葉を使うと距離を感じてしまう場合があります。日本とは感覚が違いますよね(笑)。

もちろん、これは一般的な例であり、ルイヴィトン、シャネルなどの高級ブランド品の直営メーカー店の場合は、グローバルで同じ水準の対応を求められます。

おわりに

国が変わることで、カスタマーサポートも当然変わる必要があります。特に中国のような特例の多い国では、生活習慣、価値観も考慮して対応していかなければなりません。本国の成功例をそのまま持っていくことは危険です。これから中国向けの越境EC市場を考える日本企業は、「入郷随俗(郷に入っては郷に従え)」の原則に従い、更に世界的にも高く評価されている、日本らしい妥協のない高品質のサポートを行っていくことが重要でしょう。

この記事の執筆者

安田 洋子(株式会社オウケイウェイヴ)

安田 洋子(株式会社オウケイウェイヴ)

株式会社オウケイウェイヴのマーケティング担当。中国に長期間暮らした経験があり、中国のネットサービス、カスタマサポートに詳しいです。中国のカスタマサポートに関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください!

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