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コールセンターの「レジリエンス」を育てよう【第1回】

2018年11月22日
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コールセンターには「レジリエンス」が大切

苦しいことがあっても、凹んでも沈みこんでも、再び起き上がる力、回復する力が「レジリエンス」です。「レジリエンス」は、誰もが持っています。そして、しなやかでより丈夫な「レジリエンス」を育てることができます。
ストレスなしでは過ごせないコールセンターです。コールセンターで働くすべての人が「レジリエンス」の重要性を知り、「ストレスにさらされてネガティブ感情に覆われたとき、自分のネガティブ感情に気づき、『瞬間的に対処する力』を身につけること」と、「逆風が吹いても折れずに立っている木には、地面の下に根が張り栄養を摂っているように、『レジリエンスの基礎(根)』をつくること」の両側面から、レジリエンスを育てる方法を数回に分けてご紹介します。

「コールセンターのイメージ」って?

私は、コールセンターで育ちました。20年超のコールセンター人生が、シニアになってもフリーになっても仕事を続けられる私を創ってくれたと思っています。コールセンターで働いて来てよかったと、コールセンターに感謝しています。
キャリアコンサルタントとして人々のキャリア支援にかかわっていると、コールセンターに対するイメージが良くないことを思い知らされます。「コールセンター『なんて』大変でしょ。ずっとクレームを受けているなんて。どうせすぐ辞めちゃうんだから、『コールセンターなんか』紹介しませんよ」とは、職業紹介の仕事をしている方が言っていたことです。私は、残念な気持ちになりました。
世間的にはこうしたイメージを持つ方が大多数なのかもしれません。「実は違うんだけどね」「たまにクレームもあるけど、すべてがクレームというわけじゃないし」「お客様から『ありがとう』と言われることが結構あって、うれしい」と言えるのは、コールセンター経験者だけです。こうしたコールセンターで働く良さも、世間に広めたいと思います。
コールセンターで仕事をすることを通して身につく能力のうち、際立つものはコミュニケーション能力でしょう。「上手なお客さま応対をしたい」と意識していれば、知らず知らずのうちに能力は高まっていくお得な職業です。しかし、気持ちが落ち込むこともあります。「一生懸命やっているのに、もっと応対レベルを上げるようにと注意ばかりされる」「うまく説明できず、分かってもらえない」「ご立腹のお客様にあたってしまった」「業務が難しくて、覚えきれない」など、常時、「明るく元気に、感じよく」ができないことがあります。

回復する力を持っている

このようなときに感じているのが「ネガティブ感情」です。「また怒っているお客様かもしれない。嫌だなぁ。電話に出たくないな」と思うことがあります。「○○のことを聞かれたらどうしよう。うまく答えられないかも」と不安になることがあります。こうしたネガティブ感情があるから、私たちは「備える」ことを考え、準備行動をします。「ネガティブ感情」が悪者とは限りません。ずっとネガティブ感情に覆われていたら苦しくなりますが、ネガティブ感情を感じている自分に気づき、対処する力を私たちは持っています。
「人は、ポジティブな情報や感情よりも、ネガティブな情報や感情に影響をうけやすく、繰り返し思い出してしまいやすい」といわれています。それでも私たちは立ち直ることができます。苦しいことがあっても、凹んでも沈みこんでも、再び起き上がる力を誰もが持っています。このような力を「レジリエンス」といいます。回復力ともいわれます。

レジリエンスを絵に描くと

自分がイメージする「レジリエンス」を絵にかいてもらったところ、「雑草」の絵を描き、「踏まれようと、飛ばされそうになっても、また起き上がる」と解説してくれた人がいます。また、「天秤」の絵を描き、「天秤は揺れるけど、軸は曲がらない」と説明してくれた人もいます。ある人は、「山を登っているイメージ=登っているときは辛いが、頂上に着いたらステキな景色が待っている」といい、「レジリエンスとは、自分が元気になって、しっかり今後の人生を、幸せいっぱい生きていこうとするための大切な手段である」と表現してくれました。またある人は、ライオンの背に乗って楽しそうに歌を歌っている絵を描いてくれました。「サバンナ(過酷な状況)でライオン(最悪な困難)に出会っても、あきらめずにプラスにする人」とのことです。
私たちは、自分自身の中にあるレジリエンスを高めること、強化することができます。身体の筋肉を鍛えるように、精神的な筋肉も鍛えることができます。それは、日常生活のなかで取り組み可能です。一人ひとりのレジリエンスを育て、レジリエンスの高い人の集団であるコールセンターをつくりましょう。

レジリエンスとポジティブ感情

「レジリエンス」を育てるための重要キーワードは、「ポジティブ感情」です。バーバラ・フレドリクソンの「ポジティブ感情の拡張・形成理論」によれば、「ポジティブ感情は、思考と行動のレパートリーを拡張し、ネガティブ感情を打ち消す効果があり、レジリエンス(回復力)を高める」とされています。(『ポジティブ心理学が1冊で分かる本』(著者:イローナ・ボニウェル 発行:株式会社国書刊行会)P.36-38)
ネガティブ感情はコントロールしにくく、感じている本人も不快でたまりません。とくに怒り感情は、つい誰かや何かに八つ当たりをしてしまうこともあります。するとセンター内に不機嫌感が漂っていきます。だからこそ、コールセンターで働くすべての人が「ポジティブ感情を味わいやすく」することが大切だと考えます。お客様に感じの良い電話応対を提供するなら、働く人が「明るい職場で、気持ちよく働く」必要があります。センター内のポジティブ感情が増えれば、明るいセンターになるでしょう。

ハッピー・コミュニケーション・ワークショップ

「ポジティブ感情を味わって、レジリエンスを高める」方法を、ワークショップでご紹介しましょう。レジリエンスを高めるためには、「自分で自分を尊重」することが大切です。「この私で、なんとかやっていける」と自分を信頼することも、「私には、支えてくれる人がいる」と思えることも大切です。こうしたことを考えるきっかけとするワークショップです。
それは、これまで私がコールセンターで展開してきた「ハッピー・コミュニケーション・ワークショップ=通称:ハピコミ」です。人がいて、紙とペンがあれば、準備OK。皆さんのセンターで、ぜひ試してみてください。次号から4回の開催です。

絵本のひととき

お気に入りの絵本を持ち寄って紹介し合うと、どのような絵本が集まるでしょうか。子ども時代に読んでもらっていた絵本、子育て中に子どものために選んだ絵本を大人になって改めて読み返してみると、異なる思いがわいてきて面白いものです。絵本の言葉から影響を受けてきた自分、忘れられない絵がある自分に気づくかもしれません。次号から絵本の紹介もします。レジリエンスについて考え、自分自身を味わうことに活用していただけたらと思います。

次回は、ストレスにさらされてネガティブ感情に覆われたとき、自分のネガティブ感情に気づき、『瞬間的に対処する力』のひとつとして「区切り」の入れ方についてご紹介します。お楽しみに。

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この記事を書いた人

奥 富美子(国家資格キャリアコンサルタント)

奥 富美子(国家資格キャリアコンサルタント)

「コールセンター20年×研修企画・講師30年×キャリアコンサルタント12年」の実績掛け算で、働く人・働きたい人のキャリア支援をしています。「コールセンターにキャリアコンサルティングが導入され、コールセンター就業経験がキャリア発達に有益であると評判になり、コールセンターにポジティブ・イメージを抱く人が増える」社会を目指しています。
URL:https://www.career-as.com/

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