2018.11.22 サポート豆知識

消費者の信頼損失リスクが企業を脅かす【第2回】~製品品質問題への消費者への組織的対応とは?~

※過去の記事はこちら
消費者の信頼損失リスクが企業を脅かす【第1回】~皆さんの会社は大丈夫ですか?~

製品品質問題が企業に与える影響は

皆さまの中で品質問題による製品回収を経験された方がおられるのではないではないでしょうか。
大手上場企業でさえ、品質向上・管理の徹底を掲げながら、大きな品質問題を起こしている例をよく目にします。
①食品への異物混入 
②ファンヒーターや湯沸かし器の不完全燃焼 
③スマートフォンやパソコン、電子たばこ用バッテリーの発火発煙 
④車の安全性品質問題 
など製品事故に直結し人的被害を伴う深刻な問題がありますが、製品品質に起因した基本機能の傾向的な動作不良や会員向けサービスでの不具合、個人情報漏洩などの問題も珍しくありません。

このような問題が企業に与える影響はどのようなものでしょうか?

1.直接損害
①不良製品の回収費用(代替品・修理費用、運送費用、コールセンター増設など)
②広報・告知費用(社告、記者会見、ユーザー通知など)
③再発防止費用(原因究明・対策費用・設計製造工程の見直し)

2.民事・行政・刑事責任
①製造物責任・品質クレーム・訴訟費用(賠償金・訴訟費用)
②行政からの措置命令・操業停止処分

3.その他の損失
①取引停止・店頭展示抹消
②レピュテーションリスク(ブランドイメージ、信用の失墜)

というように、企業の信頼を失うことが売り上げに影響し、加えて数々の市場対応費用が発生することで経営へのインパクトがさらに大きくなることをご理解ください。

製品・サービスにおける不具合発生時の対応は?

では、製品やサービスに不具合があった場合、企業がとるべき対応を考えてみたいと思います。国民生活動向調査の結果をもとに弊社で考察しました。消費者の立場・心理からみた場合の企業対応の着目ポイントです。

1. 発生した製品の不具合に関して、企業が非公開で顧客対応を行うのではなく、公表して市場対応を行うことを消費者は重視する。
2. 不具合製品の出荷/不具合発生があっても、誠意ある市場対応を行っていることを消費者は評価する場合もあり、これにより信頼回復は可能である。
3. 迅速かつ正確な公表が重要。対応が遅れるとそのことが問題視される。

この3点ですが言い換えると「顧客本位の対応」です。これにより「問題を起こしてしまった」ところにとどまらず、迅速に「誠意ある市場対応をしっかり行う」ことで企業の信用を守ることができます。

そんなことはわかっていると皆さんはおっしゃると思います。では実際に自社で問題が起きたとき、必要な対応がスムーズにできるでしょうか?

製品不具合発生時の5つのステップ

市場対応を迅速・的確に行うためには事前に業務や体制を整備しておくことが必要ですが、5つのステップで考えておくとよいと思います。

●ステップ1:情報収集 ~ ステップ2:分析・解析
ここは企業の日常業務であり、顧客の声(VOC)を製品品質やサービスの改善に活用されていることと思います。もし、品質問題発生の事案があった場合、関係部署へ迅速適切に伝達され、事実確認が確実に行われる運用ができていることが重要です。

●ステップ3:案件共有/判断 ~ ステップ4:市場対応準備 ~ ステップ5:対応進捗管理
危機対応に備えた業務整備を必要とする領域です。 案件の事実確認と原因究明をもとに、消費者対応の実施と市場対応の具体的な準備作業に入ります。消費者への説明や具体的な対応を検討するために、社内の専門部署が集まって緊急対策本部を設置します。また、場合によっては社外専門家(弁護士・コンサルタントなど)の支援も必要になります。

この対応を短時間で行うためには、手順や各部署の役割をあらかじめ整備しておくことが必要です。あわせて会社の共通ルールとしてドキュメント化しておくことで、いざというときのバタつきや準備の漏れを防ぐことができます。

多くの企業においては、品質やサービスの向上に関して工数とコストをかけていると思われますが、品質やサービス問題の発生は決してゼロにはならないといわれています。問題が発生してしまった時の対応準備を怠っていることはないでしょうか。「緊急時対応マニュアルはあるが、現実にそれが機能するかどうか不安だ」「緊急時対応マニュアルは部署ごとに存在しているが、実際に関係部署間で連携できるかどうかはわからない」そういった企業の声を耳にします。第一回で述べたように、SNS等で拡散・炎上のスピードが速い近代型リスクの脅威にさらされている現状を踏まえて、影響を最小限にとどめるための準備が必要であることはご理解いただけましたでしょうか?

市場対応の体制構築の推進はナレッジ部門が適任

では誰が、どうやって市場対応を進めていけばよいかという社内推進体制の問題がでてきます。カスタマーサービス部門でナレッジを運用している部署が、推進役として力を発揮することが最適であると弊社は考えます。
ナレッジ部門は通常の業務を通して、顧客とビジネス部門や品質保証部門をつなぐ業務を行っていますよね。顧客に対して何を提供すればよいのかがわかっているので、そのオペレーションをもとに、関係部署とアクションアイテムの洗い出し・フローを整備し、そこに各部門の役割を定義づけていけばよいのです。その仕組みづくりにナレッジ部門が適任だと思います。

次回は顧客対応における「苦情・クレーム」対応上のリスクと企業として組織的運営を行うためのポイントをご紹介します。

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この記事の執筆者

斎藤 猛(ソニーマーケティング株式会社 カスタマーコミュニケーション事業室)

斎藤 猛(ソニーマーケティング株式会社 カスタマーコミュニケーション事業室)

ソニー製品の国内マーケティング事業において、製品品質問題やお客様対応における消費者クレームリスクマネジメントの実践ノウハウをもとに、企業のリスクマネジメント体制の構築を支援し、お客様との良好なリレーションシップの実現による顧客満足度の向上に貢献しています。
URL:https://www.sony.jp/support/cs-biz/

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