2019.2.14 サポート豆知識

コールセンターの「レジリエンス」を育てよう【第4回】

「ごきげんライン」を書いてみよう

苦しいことがあっても、凹んでも沈みこんでも、再び起き上がる力、回復する力が「レジリエンス」です。「レジリエンス」は、誰もが持っています。そして、しなやかでより丈夫な「レジリエンス」を育てることができます。 ストレスなしでは過ごせないコールセンターです。コールセンターで働くすべての人が「レジリエンス」の重要性を知り、「ストレスにさらされてネガティブ感情に覆われたとき、自分のネガティブ感情に気づき、『瞬間的に対処する力』を身につけること」と、「逆風が吹いても折れずに立っている木には、地面の下に根が張り栄養を摂っているように、『レジリエンスの基礎(根)』をつくること」の両側面から、レジリエンスを育てる方法を数回に分けてご紹介します。第4回は、「ごきげんライン」についてです。
※過去の記事はこちら 【第1回】【第2回】【第3回】

気分は山あり谷あり

コールセンターで仕事をしている一日の気分をグラフに書いてみましょう。お客様応対の終了時、気分に点数をつけるとどうなるでしょうか。応対が上手だったか否かの評価をするのではなく、応対を終えて今の気分がどうかを自分に聞いてみます。

白い紙の真ん中に横線を一本引き、この線を「±0:ふつう」とします。上段下段それぞれの枠内に、さらに中央線を引きます。このそれぞれの中央線を、「最高を10としてプラス5、下段枠であれば最低をマイナス10として、マイナス5」としておくと、点数をつけやすくなります。プラスの気分であれば上段枠に、マイナスの気分であれば下段枠に印をつけます。

「〇月〇日 00:00 〇〇の件 〇代の男性/女性」など応対の概要と、なぜその点数にしたのかのメモを記入しておくといいでしょう。すべての応対を書くのは大変でしょうから、自分なりに印象に残ったものを書いていくといいかもしれません。点をつけたら、あとは線でつなぎます。

自分の感情も大切

「お客様がどんな思いでいるか考えながら応対するように!」「お客様の気持ちを想像してください」と指導されることが多くありませんか。こうした指導の言葉を、コミュニケータは嫌というほど聞かされていることでしょう。「同じことばかり言って…。私、ちゃんとやっています」と言いたくなることがあるのではないでしょうか。

お客様の気持ちはもちろん重要ですが、「自分自身の気持ち・感情」も大切です。応対の最中に、コミュニケータの感情も揺れ動きます。「なんかドキドキする」とか、「通じなくてイライラする」とか、「感じのいいお客様で嬉しい」とか、一件の応対のなかでも感情の山谷がおきていることでしょう。そして終話したとき、どんな気分になっているでしょうか。

グラフを見つめる

私たちはつねにご機嫌・上機嫌でいられるわけではありません。気分は上がったり下がったりしています。グラフにつけておくと可視化されて自分自身の感情の動きを冷静に見つめることができます。感情コントロール力をつけることに役立ちます。感情コントロールとは、「感情を抑え込む」ことではありません。「私は、いまこんな感情になっている」と自分に気づくことです。気づけば、対処が可能になるのです。

SVは、センター内を歩いていてコミュニケータの「ごきげんライン」を目にしたとき、気になるグラフであれば声をかけましょう。いい気分のグラフならニコッと笑顔をむけるだけでもOK。不快な気分が記されているのなら、機会を見計って話を聴くといいでしょう。不快になった理由があるはずです。話を聴くことで、コミュニケータが気分を切り替えて電話応対に集中できるようサポートすることができます。

書く

「ハッピー・コミュニケーション・ワークショップ=通称:ハピコミ」では、A4サイズの白い紙を用意します。このコラムの冒頭に記したとおりの使い方で横向きに使います。真ん中に横線を一本引きます。横軸は期間です。この期間は、コールセンターでの職業人生にして、「ごきげんライン」を書いてみましょう。入社(〇年〇月)から始まり現在(〇年〇月)までの期間を横軸にとります。右端はすこし余白をつくっておきましょう。これから先の年月もあるからです。

「〇年〇月に入社して、そのときは、就職が決まってうれしかったからプラス8くらいの気分だった」「業務研修が始まったら、覚えることは多いし難しいし、やっていけるのだろうか・・・と不安になり、マイナス気分だった。底に近いほどのマイナス度に落ちた」「初めてお客様から『困っていたのですが、助かりました。ありがとうございました』と言われたとき、とてもうれしかった。だからごきげん度最高」「担当業務の変更となり、新しい知識をつけるのに大変で・・・またまたマイナスに」等々を書いていきます。
仕事をしていて、どのようなことがありましたか。何らかの体験に、必ず気持ちがあります。

語る・聴く

3~4人のグループになって、語り合います。話す人は、書いた「ごきげんライン」を見せて、自分のコールセンター人生にどんなことがあり、どんな気持ちだったかを紹介します。「言いたいことだけ・話してもいいなと思うことだけ」を話します。グラフにしたことをすべて述べなければならないというものではありません。その他の人は、傾聴に徹します。「評価したり批判したり」しません。話す人が「以上です」と話し終わってから、質問をします。同じ経験をしている人がいるかもしれません。した苦労が一緒で、共感が表現されるかもしれません。お互いに「そうそう、あのときは大変だったね。でも~で乗り越えたね、私たち」と言い合えるといいですね。
これを順番に繰り返します。お一人の方が終わるときは、拍手で感謝を示しましょう。そして、次の方に交替です。

自分を受け止める・他者を受け止める

仕事に追われている日々のなか、私たちは過去を冷静にふりかえる機会があまりありません。「入社から現在まで」で書いた職業人生の「ごきげんライン」を見て、自分の口で「語って」みると、苦しかった・大変だったことを乗り越えた自分も表われているはずです。そのときは、「運悪く遭遇してしまった何か」が、後々ふりかえって考えてみると、「あの経験があったから、いまの自分がある」と思えることでしょう。谷があったとしても、再び登っているはずです。登る力がレジリエンスです。

コールセンターでの職業人生も山あり谷あり

「あのとき、~なんかしたくなかったのに」「どうして、~になってしまったのだろう」と考えても、すでに起きてしまったこと、事実は変えることはできません。「あのことが、なければよかったのに」と思うことでも、その事実をどう捉え、「どのような意味づけをするか」は自分次第です。自分自身を肯定することが、レジリエンスを育てることになります。

「自分の人生をふりかえる」ことは、これから先の人生をどう生きるかを考えるのに大切なことです。コールセンターでの職業人生を意味あるものとしていくのは、自分です。「コールセンターで仕事してきたけど、自分の力が伸びるし、けっこう良いよ」と言いたいですね。

絵本でひとやすみ

『あたし、フェオドーラ』(フランツィスカ・ビアマン/作・絵、原田千絵/訳、フレーベル館/発行) 予期せぬマズイことがおきてしまったときのことが書かれた絵本です。フェオドーラは、「なんてこと! あたし、どうしたと思う?」と読者に問い、どうしたか教えてくれます。

「大切な用事に着ていこうとしていたワンピースに染みがついている」けど、かまわず着ます。染みのところでマフラーを巻いて「どう、すっごくおしゃれじゃない?」と言います。「おばあちゃんの誕生日プレゼントに持ってきた花束をバスの中に忘れてきちゃった」けど、おばあちゃんはお庭でお昼寝中だったから、花壇のお花で小さな花束を作って言います。「うん、とってもきれい!」

何か起きても「どうにかする」のがフェオドーラです。私たちも、何か不都合が起きて不機嫌な気持ちになっても、ずっとそのままではいたくないので、ご機嫌になれるよう、自分なりに「何かをしている」のではないでしょうか。

この記事の執筆者

奥 富美子(国家資格キャリアコンサルタント)

奥 富美子(国家資格キャリアコンサルタント)

「コールセンター20年×研修企画・講師30年×キャリアコンサルタント12年」の実績掛け算で、働く人・働きたい人のキャリア支援をしています。「コールセンターにキャリアコンサルティングが導入され、コールセンター就業経験がキャリア発達に有益であると評判になり、コールセンターにポジティブ・イメージを抱く人が増える」社会を目指しています。
URL:https://www.career-as.com/

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